両手仲介とは、不動産会社が1社だけで売主と買主を仲介することをいいます。売主と買主からそれぞれ仲介手数料を受け取れるため、商売として非常に美味しいのです。しかし、両手仲介達成の影には、ないがしろにされた売主の姿があるのです…。
両手仲介を狙え!そのときに起こること

うちの顧客にマンションがほしい人がいたので、売り出したらすぐに売れましたよー

お!リョウテ(両手仲介、両手取引)だね!お手柄だよ!
- 両手仲介(りょうてちゅうかい)
- 不動産取引において、1社の不動産仲介会社が「売主」と「買主」の双方と媒介契約を締結し、ひとつの取引を成立させること。この場合、仲介する不動産会社は売主・買主の双方から仲介手数料を受領する。1社が単独で成約させるため、複数の会社が関与する「片手仲介(共同媒介)」と対比して用いられる

物件ひとつで仲介手数料が2倍ですから、営業の人が積極的に狙うのもわかりますね

ただ、両手仲介は不誠実な取り引きが横行する原因になるから、積極的に狙うのはよくないんだよね
不動産会社が両手仲介で手数料倍増を優先すると、ほかの不動産会社からの問い合わせを嘘をついて断って自社の顧客を優先する「囲い込み」という行為が起こります。その結果、購入希望者が限定されてしまい、売却期間が長引いてしまったり、本来より安値での売却を強いられたりなど、売主が不利益を被ってしまうのです。

確かに両手仲介を狙うと、売主の不利益になりがちかもしれませんね
日本は例外!?両手取引が違法の国もある

だから海外では、両手仲介を禁止している国もあるんだよ
先進国の多くでは、売主と買主の利益相反を防ぐため、両手仲介を規制しています。

イギリスでは法律で完全禁止、アメリカやカナダでも一部の州で禁止されており、片手仲介が一般的です。
| 国・地域 | 規制状況 | 主な内容・法制度 |
|---|---|---|
| イギリス | 完全禁止 | 1979年不動産代理人法により、同一取引において売主・買主の双方から報酬を得る行為が禁止されている |
| アメリカ | 原則禁止・制限 | フロリダ州やコロラド州など一部の州で禁止。認められる州でも、厳格な情報開示が義務づけられている |
| カナダ | 一部州で禁止 | ブリティッシュコロンビア州などで原則禁止。消費者保護の観点から、エージェントは一方の当事者のみを代表する制度が主流 |
| 日本 | 適法(主流) | 宅地建物取引業法において禁止規定はなく、双方の承諾があれば認められる |

売主に不利益があっても認められるのは困りますねえ

法律が古いまま、業界の慣習が優先されているからね。問題が明らかになっても、規制されてないんだ
特に大手の不動産会社では、両手仲介による仲介手数料6%を前提として経営されています。広い販売網と、多くの営業マンを抱える大手不動産会社ならではといえるでしょう。
そもそも、仲介手数料っていくら?
仲介手数料は、売買が成立した際に不動産会社へ支払う、成功報酬のことです。法律で受領できる上限額が定められており、一般的には(売却価格の3%+6万円)+消費税で算出できます。

1千万円の物件なら、39万6千円ですね

両手仲介ならこれが、79万2千円になるよ。両手仲介の魅力がわかるね

法律で決められた仲介手数料って上限なんですね。値切れるものなんですか?

媒介契約を結ぶ前なら、仲介手数料を値切ることは可能だよ

値切れるものなんですね

本当に値切れるかどうかはしらないけど
売主が両手仲介を狙う不動産会社に対抗する方法

両手仲介を狙う不動産会社に、売主が対抗するにはどうすればいいですか?

簡単!一般媒介契約にすればいいんだよ
複数の不動産会社と同時に契約する一般媒介契約なら、1社が情報を隠したとしても、ほかに契約している不動産会社が販売活動を行うので意味がありません。つまり、一般媒介契約で複数社と媒介契約を結べば、どうやっても囲い込みができないのです。
- 囲い込み(かこいこみ)
- 不動産仲介会社が両手仲介による手数料の独占を狙い、他社からの購入希望者の紹介を意図的に遮断すること。他社から物件の確認が入っても、商談中など虚偽の理由で内覧を断り、自社で見つけた買主だけに売却しようとすることを指す。売却機会の損失を招くことから、2025年より宅地建物取引業法等で厳格に禁止されている

一般媒介契約だと他社に売られるかもしれないから、あんまり好きじゃないんですけどね

不動産会社のやる気に影響するかもしれないけど、囲い込みは難しくなるから、売主は安心だよね

囲い込みをされているかどうか、疑心暗鬼になるよりはよいかもしれませんね


